2015年9月15日火曜日

楔 割り楔と地獄ホゾ


機にはこのような歯車も必要です。材料は白樫。歯が細かいうえ、強い力がかかるので、硬い木を使う必要があります。白樫は日本の木の中で最も強靭で、鉋の台、農具の柄、楔や栓などに使われます。

  この歯車を作るのに、このような切れ端が出ます。ゴミみたいですが、捨ててはいけません。これは大切な楔になります。
  楔にするときは、左のような木目になるように取らなければいけません。右の木目だと、いくら硬い木とはいえ割れてしまいます。右のは失敗しました。貴重な白樫が…(T-T

 ではこの楔を使ってみましょう。
  ホゾの先に、楔を入れる切れ込みを入れておきます。このように切れ込みを内側に向けて入れることで、楔を打ち込んだときにホゾが割れにくくなります。

  ホゾを差し込みました。ホゾの差し込み口よりも抜け口の方が広くなっているため、楔を打ち込んでホゾを広げることで抜けなくなる仕組みです。

  楔セット!楔が折れないように、まっすぐやさしく叩き入れます。途中で折れるとやっかいなことになりそうです。

  打ち込みました。あとは出た部分を鋸で切り落し、表面に鉋をかければ出来上がりです。このようにホゾの先に打ち込むタイプの楔を「割り楔」といいます。家具などにも多用される、基本的な楔の使い方です。

 さて次は楔の応用編。一度差し込んだら二度と抜けない、その名も「地獄ホゾ」!(少し緩めに作ってあるので、実際にはがんばれば抜けます(笑)
これは二つの部材をつなぐための栓です。この先端に楔を入れておきます。

そして栓を楔ごと入れます。

入りました。まだこの状態では軽く入っているだけです。逆の先端にも楔が入っているので、同様に…

  入れます。そしてこれを打ち込む!栓を入れる穴は、奥に行くほど広く彫ってあります。栓を打ち込むと、楔の頭が穴の底に押されて、楔が栓に打ち込まれていきます。すると穴の中で栓が広がり、抜けなくなるわけです。

  入りましたね。外からは仕口が見えないので、二つの部材がどのように接いであるのかは、知らないとわかりません。なんて不思議。
(今回は栓を使っていますが、「地獄ホゾ」の名前通り、通常はホゾの先に楔を差し込んで穴に入れます。今回のは「地獄ホゾ」の変形版です。)

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